PEOPLE

「TOKYO NODE」って、なに?
アーティストの創造性を引き出す唯一無二の空間に迫る

2023.10.6 (Fri)

TEXT BY SHUNTA ISHIGAMI
PHOTO BY SHINTARO YOSHIMATSU

2023年10月6日、虎ノ門ヒルズ ステーションタワー45-49F、そして8Fに新たな情報発信拠点「TOKYO NODE」がオープンした。「NODE(結節点)」の名をもつこの施設は、多様な文化やクリエイション、ビジネスをつなぎ合わせ、虎ノ門から東京、さらには世界へと情報を発信していくもの。カンファレンスホールやレストラン、プールなど多くの施設を有するTOKYO NODEは、なぜ、どのようにつくられたのだろうか。構想段階から本プロジェクトに携わってきた森ビル 新領域事業部の杉山央とともに、TOKYO NODEの全貌に迫る。

東京にはカテゴリに囚われない場所が必要

「東京が魅力的な都市になるためには、新たな文化発信拠点が必要だと思っていました。すでに六本木ヒルズの森美術館があるなかで、虎ノ門に何をつくるべきなのか。いま社会が急速に変化していることを考えると、アートやエンタメ、ビジネスといった従来のカテゴリに括られない最先端の動きを発表できるような場所をつくりたいと考えていくようになりました」

構想段階から本プロジェクトに携わってきた森ビル 新領域事業部の杉山央はそう振り返る。「美術館」「ギャラリー」「ライブハウス」「カンファレンスホール」など多くの施設が東京にはあるものの、その多くが既存の形式や表現を前提としてつくられていたことも事実だろう。新たな文化や表現を生み出すためには、まだ名指しえない“何か”を受け止められる場所をまずつくらなければいけなかったのかもしれない。

45Fにつくられた3つの巨大なギャラリーと46Fのカンファレンスホールは、まさにこれまで東京になかった新たな表現の場となるはずだ。加えて屋上につくられた2つのレストランとプール、ガーデンもまた、ここでしか体験できないような価値を提供するものになっている。こうした施設構成の背景には、クリエイターに寄り添う空間をつくりたいという思いがあったと杉山は続ける。

「テクノロジーの発展によってアーティストの活動領域が広がっているからこそ、彼/彼女らが使いたくなるような施設をつくりたかったんです。アーティストの表現によって空間そのものが多様に変わっていくとしたら、たくさんの人にもっと魅力的な体験や価値を届けられると信じています」

アーティストや企業の新たな挑戦の場が都市に生まれることは、施設を超えて地域全体に大きな影響を及ぼしていく。六本木の森美術館やお台場のチームラボボーダレスのように、これまでも新たな文化施設を通じて多くのシナジーを生み出してきたことが、今回のTOKYO NODEという空間づくりにもつながっていると言えるだろう。

45Fのアライバルホールが、TOKYO NODEの各施設につながっている。

唯一無二の体験が生まれつづける場所

こうしてつくられたTOKYO NODEの施設は、実に個性豊かだ。たとえば地上250mの屋上には、オープンエアの広大なスカイガーデンと空と一体化するインフィニティプールが設けられている。シンガポールのような亜熱帯の地域と比べると東京は屋外のプールに入れる時期が限られるため通常こうした施設の屋上にプールをつくることはほぼありえないが、いまもなお新たなビルが増えつづけるなかで多くの人に選ばれる施設になるためには、唯一無二の空間と体験が必要なのだと杉山は語る。

「もちろんプールをつくれば経済的な負担は大きくなりますが、継続的に考えると空間の価値は高まっていくと思っています。プールの存在によってこの屋上でしか得られない体験が生まれますし、その気持ちよさや感動を求める人はたくさんいると思うんです。プールの両サイドにつくられたレストランにもものすごく力を入れています。インターネットでさまざまな情報が得られる時代だからこそ、TOKYO NODEを訪れなければできない体験をつくっていこうと考えていました」

7Fのスカイロビーには、展示に合わせたバナーも掲出されている。

エントランスでは6つのディスプレイが使われたサイネージにさまざまな情報が表示される予定だ。

エレベーターホールの幾何学的なライティングはどこか近未来的なムードを醸し出している。

アライバルホールからは東京の景色が一望できる

46Fの「TOKYO NODE HALL」。空間ごとに異なる質感の素材が使われているのが印象的だ。

49Fのプールは、夏以外の季節も魅力的な空間になっていくはずだ。

積極的に緑地化の取り組みが進められていることも特徴のひとつだろう。

地下2Fの入り口には、巨大なサイネージが設けられている。

アーティストの創造性を引き出すために

45-46Fにつくられたホールやギャラリーもただの空間ではなく、ここでしか得られない体験を生み出すために考えられたものだ。通常、イベントホールは人の導線や音響を考慮し、低層階や地下につくられることが一般的だが、TOKYO NODE 46Fのホールはメインステージの背後が窓ガラスになっており、東京の絶景を見渡せる唯一無二の空間がつくられている。

「このホールがエンタメやアート、ビジネス、サイエンスなどすべてが交わっていく場になると思っています。企業が新商品を発表する場でもいいし、イノベーターが新たなアイデアを発表する場でもいい。もちろんアーティストやミュージシャンの方々にも使っていただきたいです。座席数は338席と限られてはいるものの、座席のレイアウトも変えられますしさまざまな表現に対応できるはずです」

アライバルホールのエスカレーターは、TOKYO NODE HALLへ続いている。

そう杉山が語るように、特殊性・希少性だけでなく、柔軟性もTOKYO NODEのホールやギャラリーの特徴のひとつだろう。45Fに設けられた3つの広大なギャラリースペースは、その見た目以上に懐の深い空間になっている。たとえばガス式の消火システムを導入することで自由な空間づくりができるとともに、海外から貴重なアート作品を受け入れることも可能に。アーティストがクリエイションに労力を割くことができるよう、高さ5.5メートルの空間を仕切る可動壁や照明システムもあらかじめ設計されている。

ギャラリースペースのなかでも両サイドの二部屋は、さらに印象的だ。片側には高さ12メートルの巨大な空間が広がっており、もうひとつの空間は天井がドーム型にデザインされており、プロジェクションすれば映像に包まれるような体験を生み出せるという。もちろん、自由な使い方に対応するために、車も入る大型の搬入エレベーターが用意され地下から高層階まで専用利用できるようなっているなど、搬入・搬出経路など裏側のユーザビリティもきめ細やかに設計されている。これは森美術館やチームラボボーダレスをはじめ数多くの展示や表現携わってきた森ビルだからこそ実現できた空間でもあるはずだ。

49Fの「SKY GARDEN & POOL」。インフィニティプールはTOKYO NODEが誇る唯一無二の空間のひとつ。※入場は49Fレストラン利用の方のみ

49Fの「SKY GARDEN & POOL」。プールを挟むようにして、2軒のレストランがオープン予定だ。※入場は49Fレストラン利用の方のみ

46Fの「TOKYO NODE HALL」。カンファレンスから音楽ライブまでさまざまなイベントに対応できる。

46Fの「TOKYO NODE HALL」。日が落ちると、昼間とはまったく異なった表情を見せる。

45Fの「GALLERY A」。球状の天井には映像をプロジェクションすることも可能だという。

45Fの「GALLERY B」。全長60メートルにも及ぶ空間の迫力は圧倒的だ。

45Fの「GALLERY C」。天井高15メートルの空間はクリエイターの想像力を刺激するだろう。

46Fの「TOKYO NODE HALL」。カンファレンスから音楽ライブまでさまざまなイベントに対応できる。

「イベントや展覧会を行う際には、施設側の制約や都合で表現が狭められてしまうことが少なくありません。多くの施設はアーティストファーストの考え方でつくられていないからです。だからこそTOKYO NODEは多くのアーティストの方々にとって理想の空間だと思ってもらえるような場所にしていきたいし、その創造性を引き出すような場でありたい。その結果、さらに多くの人がこの空間に集まりますし、東京だけでなく世界ともつながる“結節点”になっていくはずですから」

アーティストの創造性を引き出す上では、8Fに設けられた「TOKYO NODE LAB」も重要な機能を果たす。20社近い企業やクリエイターが参画し、虎ノ門ヒルズエリアを通じて、新たな都市体験やコンテンツの共創していくことを目指すこのラボは、ボリュメトリックビデオデータ撮影に対応したスタジオなどを有しており、常に新たな表現やテクノロジーを実験できる環境が整備されている。ラボのチームが常にTOKYO NODEの新たな使い方を模索しつづけられるからこそ、アーティストや企業の表現の可能性も広がっていくはずだ。ラボの存在によって、TOKYO NODEは日々更新されつづけることになるだろう。

世界を見回せば部分的に似たような施設はあるかもしれないが、同じようなコンセプトをもち、これだけの空間を備えた施設はほかにないだろう。もちろん、TOKYO NODEにとって開業はゴールではなく、スタートでしかない。どんなアーティストや企業がどのようにこの魅力的で挑戦的な空間を使い倒していくのか、これからのTOKYO NODEへ期待していこう。

2023.12.12 緊急時のお知らせ

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