東京にはカテゴリに囚われない場所が必要
「東京が魅力的な都市になるためには、新たな文化発信拠点が必要だと思っていました。すでに六本木ヒルズの森美術館があるなかで、虎ノ門に何をつくるべきなのか。いま社会が急速に変化していることを考えると、アートやエンタメ、ビジネスといった従来のカテゴリに括られない最先端の動きを発表できるような場所をつくりたいと考えていくようになりました」
構想段階から本プロジェクトに携わってきた森ビル 新領域事業部の杉山央はそう振り返る。「美術館」「ギャラリー」「ライブハウス」「カンファレンスホール」など多くの施設が東京にはあるものの、その多くが既存の形式や表現を前提としてつくられていたことも事実だろう。新たな文化や表現を生み出すためには、まだ名指しえない“何か”を受け止められる場所をまずつくらなければいけなかったのかもしれない。
45Fにつくられた3つの巨大なギャラリーと46Fのカンファレンスホールは、まさにこれまで東京になかった新たな表現の場となるはずだ。加えて屋上につくられた2つのレストランとプール、ガーデンもまた、ここでしか体験できないような価値を提供するものになっている。こうした施設構成の背景には、クリエイターに寄り添う空間をつくりたいという思いがあったと杉山は続ける。
「テクノロジーの発展によってアーティストの活動領域が広がっているからこそ、彼/彼女らが使いたくなるような施設をつくりたかったんです。アーティストの表現によって空間そのものが多様に変わっていくとしたら、たくさんの人にもっと魅力的な体験や価値を届けられると信じています」
アーティストや企業の新たな挑戦の場が都市に生まれることは、施設を超えて地域全体に大きな影響を及ぼしていく。六本木の森美術館やお台場のチームラボボーダレスのように、これまでも新たな文化施設を通じて多くのシナジーを生み出してきたことが、今回のTOKYO NODEという空間づくりにもつながっていると言えるだろう。